2013年10月21日月曜日

(((おんがく目レキシ科))) ハワイアン音楽② ~清水さんからの手紙~

お待たせしちゃいました。。清水さんのお手紙続きです!その1はコチラ

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Slack-key
ハワイアンを学び出すとよく耳にする言葉がありました。
それはハワイ語で「kī hōʻalu」(キー・ホーアル)という言葉です。
それはスラック・キーの事を言います。「Slack-key」(ゆるめるキー)
ちなみにスラック・キー・ギターの事をハワイ語で(キーカー・キー・ホーアル)と言います。


ではなぜハワイの人は弦をゆるめて弾いたのか?と気になる訳ですが、
ハワイ島にメキシカン・カウボーイがギターを担いで入って来たのが1832年だそうです
その昔カウボーイが弾くギターを見よう見まねし、
キーをゆるめ、ハワイ的な音色に合った開放調弦奏法を見つけたそうです。
調弦は名家の秘伝だったそうです。なので後ろを向いて演奏していたなんて話もあります。
チューニングもいろいろありますがここではスタンダードをふたつだけ。
まずはタロパッチ・チューニング。ハワイ語でタロイモの水田という意味です。
6弦からD.G.D.G.B.D  (スライド・ギターを弾く方はオープンGと言います)
そしてGワヒネ・チューニング。ハワイ語で女性という意味です。
6弦からD.G.D.F#.B.D

Slack key duet



「ウクレレの謎」
1878年ポルトガル人がサトウキビ労働力としてハワイに入りました。
その時に持ち込んだ小型の4弦楽器が「ブラギーニャ」でした。

続いて1879年入港した船の中には演奏家や楽器職人が3人いたと伝えられています。
ポルトガル人がハワイで楽器を作り出し、演奏しピラリイリイと親しまれたそうです。

「ピラリイリイ」とは?ハワイ語で小柄のヴァイオリンという意味だそうです。
改良を重ね作りあげたひとりの職人がNUNES UKULELE」を立ち上げます。
その後、1911年に「クマラエ」がウクレレの生産を始めます。

1915年のサンフランシスコで開催された「パナマ太平洋博覧会」でクマラエ・ウクレレが
金賞となり、アメリカにもウクレレが渡りハワイアンブームが起きます。
1910年代後半から「マーチン」社がマホガニーでウクレレの生産を始めます。
そしてハワイでは1916年に「カマカ」社 が設立されました。

こうしてウクレレは市場に参入していきます。
ちなみに昔のチューニングは4弦からA.D.F#.Bが多いようです。
これをアメリカン・チューニングなんていう人もいます。

ウクレレという言葉はハワイ語で「飛び跳ねる(lele)ノミ(uku)」という意味ですが
諸説いろいろあるようです。当時人気奏者のあだ名から取られたとも言われているし
ハワイの古楽器である「ウケケ」(ukekeからとられたとかなまったという説。
小さな楽器の上で奏者の指が目まぐるしく動く様を表現したとも言われています。

Roy Smeck


「ハワイアン・スティール・ギター」
さて盛り上がってまいりました。
インド伝来説、またはジョセフ・ケクークが1889年に始めたとの説が伝わるのが
そうです!「スティール・ギター」と言われております。
スティールを語るにはスラック・キー・ギターの事を忘れてはいけないのは大前提です。
ギターを膝の上で寝かし、鉄の棒、または骨などを使い、指板の上をすべらせて弾いたのが始まりだったとされています。

スティール・ギターの進化は後のエレクトリック・ギターにものすごく影響を与えています。
他のヤツより目立ちたいと思ったのでしょうね。少しでも音を大きく出したいという事で
ネックを中空型にしました。これがいわゆる「ワイゼンボーン」スタイル。

それでもまだまだと言う事で金属製の円形の薄い共鳴板をブリッジの下に取り付けた。
これがいわゆる「リゾネーターギター」と言います。
これでも満足しなかった演奏家はエンジニアに相談し、電気式を考えた訳ですね。
電気式スティールギターの始まりは「Rickenbacker社とされています。
これが1932年頃の事です。「A22型」通称“フライパン”の登場です。
ちなみに古いロゴは(cker)ではなく(cherのスペルでリッケンバッチャーです。
スティールのお陰でフェンダー社やギブソン社がエレクトリック・ギターを産みました。




「年代とスティール・プレーヤー」
20世紀に入り、ハワイアン・ミュージックがアメリカ本土におけるポップミュージックの再構築にひと役買いつつあったとされています。


1910年代:ハワイのミュージシャン達はアメリカ本土を目指す。
そしてキング・オブ・スティール・ギターのソル・フーピー登場。
ジャズ!ブルース!なんでも来い!と軽やかなトーン・バーさばき!
三連弾きのトリプレットは100年経っても色褪せない。

1920年代:アメリカ社会の中で認められはじめ、ハワイアン・ミュージックが定着しはじめる。
そこでカラマズ・カルテット登場。

1930年代:ジャイブ、ジャズが流行し、ハワイアンにもその波が!
ヒットソングを連発!アンディ・アイオーナ登場!

30年代に忘れてはいけないのが、本土のスーパースターのビング・クロスビーだ。
彼は37年アカデミー主題歌賞を「ブルーハワイ」と「スイート・レイラニ」で受賞する。

1940年代:第二次世界大戦と言う大きな出来事がある時期。ハワイアンは円熟期に入る。
ディック・マッキンタイアが登場!彼もビング・クロスビーなどのバックを務めている。

1950年代:ハワイに観光ブームが訪れる。ラジオ番組「ハワイ・コールズ」から登場。
ハワイ・コールズ黄金期。スティールはジュールス・アー・シー&バニー・アイザックス!

"Sol Hoopii" 1943


"Kalama's Quartet" New York in January 1927 
このブログ動画検索で出てこなかった(残念。。)のでリンクをクリックしてみて下さい

"Andy Iona"  Ta-Hu-Wa-Hu-Wa-I



"Bing Crosby" Blue Hawaii


"Hawaii Calls" Radio Intro


Barney Isaacs


「ハワイアン・スタイルとスライド・ギター」
私の友人であり、このスタッフ・ブログを書くOさんが書いているブルースのスライド・ギターとの関係が私も気になる。 
「時は1903年ミシシッピのとある駅で“ある男”が弦にナイフを押しつけながら、ギターを弾いていた。そこで生み出された音はとても忘れられる代物ではなかった。今まで一度も聴いたことのないような、この世のものとも思えぬ音楽だった。」
と言う無名のアフロ・アメリカンに関する記述が残っているそうです。


1920年代になるとケンタッキー出身のシルヴェスター・ウィーヴァーは「Guitar Rag」という曲でラップ・スティール・スタイルのオープンDューニングによる演奏をレコーディングし、ラグタイムやハワイアンを忠実に再現していたとあります。
そしてあのミシシッピ・デルタ・ブルースの草創期を築いたとも言えるチャリー・パットンは1929年頃やはりナイフでスライドプレーをしています。
彼の姿を見ると普通にギターを弾くスタイルではなく、上から追い被さるように6弦側から指板にナイフをあて弾いているあくまでも絵なのか写真なのかも分からないジャケットなので謎ですが・・・。

Charlie Patton


戦前のスライド・プレーヤーと聞くと黒人を連想してしまいますが、1920年代白人スライド・プレーヤーも存在していた訳ですよね。
スティール弾きのスーパーアイドル、弦の魔術師こと「ロイ・スメック」 彼はハワイアン・スティールの名手。そして白人スライド・ギターの名手と言えば「ジミー・タールトン」でしょう。トム・ダービーと異色のヒルビリー・デュエットを組み、ヒットを飛ばしています。ちなみにタールトンはラップ・スタイルで弾いている。

Darby & Tarlton


調べてみると1889年ジョセフ・ケクーク説があるので、ハワイアン・スティールはスライド・ギターより少しだけ歴史が古いと今の時点では考えて良いのかもしれません。
そして何時かはラグタイムを調べないといけないという事ですよね。それにしても“説”ってのは面白いですね。




あとがき
私は高田漣先生に約4年スティール・ギター。桜井芳樹先生にウクレレをまる3年教えていただいた。その6年間と言うのは一言でいって「濃い」時間でした。教室に通うわずかな時間でどっぷりとスティールやウクレレにハマってしまいました。 先生は決してスティールやウクレレだけ教えるのではなく「音楽の楽しさ」を教えてくれました。それは楽器の事もです(笑) 私のような素人がここまでハワイアンなどに魅せられてしまったのは、いかにエアガレージで教えている講師の方の熱意と情熱。そして闘魂注入されたからだと思います。


※発売されている本や自分なりに調べ、文章を書いておりますのであくまでも“説”です。
優しい気持ちでお読み下さい。

スチール清水 (レンダース)
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かなーり、充実した内容のお手紙でした!ハワイアンブームにのっかってスティールギターの拡散が進んだとか。。ブームによっていろいろな場所に楽器や音楽が広がり根付いて混ざっていくのは面白いですよね!

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